尾道を出発した朝、風は西から吹いていた。しまなみ海道の最初の橋を渡ると、街の喧騒が遠ざかり、エンジンの低い鼓動とタイヤと自分の息だけが残る。アドベンチャーバイクのシートに身を預け、潮の匂いを読む。
橋はゴールではなく、息継ぎ
橋の上では風が強く、島では時間がゆっくりになる。地図の線より、港の匂いと坂の勾配が次の判断を促す。急がないことが、瀬戸内では技術になる。
潮の匂いが、次のスロットルを決める。
港の食堂と、島ごとのペース
島ごとにペースを落とし、港の食堂でうどんをすする。地元の人と目が合うと、旅は観光から対話へ移る。BMW Motorradのツーリングマシンは、荷物より余白を運ぶのに向いている。
感覚を信じる地図
ナビの音声を切ると、景色が編集者になる。夕方の光が甲板に落ちる瞬間、写真より先に記憶が定着する。瀬戸内は、急がなくていい場所だと改めて知った。
島は小さいほど、時間が大きい。
帰路のフェリーでフレームを眺めた。錆びない旅はないが、丁寧な旅はある。それが、この数日間の結論だった。
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